「企業がケチになった」から日本経済は衰退した
「企業がケチになった」から日本経済は衰退した
デフレや消費税は「副次的な要因」にすぎない
東洋経済オンライン 2021/04/21 7:00
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
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「日本経済の最大の問題は、企業の緊縮戦略にある」ということで意見が一致しました。
「企業の緊縮戦略」とは、簡単にいえば、日本企業が労働者の賃金を下げるだけで、投資も増やさず、配当も控え、浮いたお金を内部留保金としてためこんでいることを指します。つまり、日本で内需が足りていないのは、消費にまわるべき個人のお金を企業が吸い上げて、貯金していることが原因なのです。
デフレの正体も、経済成長率が低いのも、ここに主因があります。
(中略)
労働分配率の低下は、労働分配率の低いIT業界などの従業者数が増えたことが原因ではなく、ほぼ全業種で起きています。
原因は、主に「モノプソニーが強くなって、労働者の交渉力が低下している可能性が高いことを示唆している」とあります。
(中略)
諸外国の企業の投資の主流がICTや社員教育に移行する一方で、日本はこの2つの分野に十分な投資を行っていないことが、海外とのギャップができている大きな理由の1つでしょう。
(中略)
日本で賃金が上がらないのは、労働分配率の低下と企業投資の減少に最大の原因があります。個人消費が増えないことこそ企業の緊縮戦略の原因だ、という反論が聞こえてきそうですが、そうではありません。実際、個人消費が増えているときでも、企業は労働分配率も投資も減らしています。
(中略)
日本のこれからの経済政策を考えるにあたって、政府はなぜ企業が賃金の引き上げも投資もしないのかを真剣に考え、どうしたら企業の投資を促進できるのかに頭を使うべきです。これはMMTに基づく積極財政を実施するか否かにかかわらず、最も重要な問題なのです。